日本で発酵文化が発展した理由とは?発酵スペシャリストへの道【4】

発酵食品と日本の関係

第4弾のテーマは「日本の発酵食文化」について。

こんにちは!断食道場SHOPの山﨑です。

本日も発酵のスペシャリストになるべく、発酵食品について学んでいきましょう!

ユネスコ無形文化遺産に「和食」が登録されるなど、日本の食文化は世界中から注目を集めています。

和食は長い歴史の中で洗練され、現代では健康にも良いと言われていますよね。その和食の中心となっているのが、発酵食品なんです!

そこで今回は、

・和食の優れた5つのポイント
・日本で発酵文化が発展した理由
・日本の食文化の課題

の3つについて学んで行きましょう!

和食は世界でも注目される健康食

日本の朝ごはん

日本人の平均寿命は、男女共に世界トップクラスを誇っています。

日本が長寿国といわれる背景にはやはり「和食」が関係しているんです。それでは、なぜ「和食が健康に良い」と言われているのか理由を探っていきましょう!

今回は、和食の「5つの健康ポイント」に注目してみました。

ポイント①栄養バランスの摂れた献立

一汁三菜

和食の献立は一汁三菜(いちじゅうさんさい)が基本です。

【一汁三菜の内容】

・ごはんなどの主食
・汁もの1品
・タンパク質主体の主菜1品
・野菜・海藻類の副菜2品

一汁三菜の献立は、多彩な食材の組み合わせで構成されています。そのため、栄養素をバランス良く摂取できるというメリットがあるんですよ!

また、大皿ではなく一人分ずつ配膳するため、食べすぎを防ぐ効果もあります。

ポイント②食材そのもの活かした調理法

豆腐

和食は欧米の食事と比較して、食材の本来持っている持ち味を生かした調理法が特徴です。

刺身などの生食をはじめ、蒸す、ゆでる、煮る、焼くなど油を使わない調理法が中心になっています。

確かに、日本食を思い出してみると揚げたり、炒めたりする調理法って少ないですよね。その調理法のおかげで、脂肪分の摂取を抑えることができるんです♪

ポイント③その時に獲れた旬の食材を使っている

和食は旬の食材を大切にしています。マクロビでも「旬の食材はパワーが強い」といわれているように、最も栄養価が高い時期であるといわれています。

旬の食材を食べることで自分の環境にあった食事ができ、身体が必要としている栄養素を摂取できます。

ポイント④うま味を活用した減塩調理

みそ汁

和食って基本的には薄味のものが多いですが、それでも何故か美味しくて満足しちゃいますよね。

それは「うま味」を上手に活用しているから!

かつお節に含まれるイノシン酸や、昆布にふくまれるグルタミン酸などのうま味成分には「塩味」をより強く感じさせる効果があります!

料理の際に出汁をうまく活用する事で、少ない塩分量でも美味しさを感じることができ、減塩効果も期待できます。

ポイント⑤豊富な発酵食品

和食が健康に良いと言われる理由の一つは、発酵食品をたくさんを取り入れているから!

発酵食品には、腸内環境の改善効果が期待できるなど健康に良い事がたくさん♪

味噌や醬油などの調味料は和食には欠かせませんよね。和食を意識して食べることで、自然と発酵食品を食べる事ができるんですよ~!

日本の発酵食品は600種類を超える!

ぬか漬け

世界どこをみても、日本ほど大量の発酵食品が存在している国は存在しません。

味噌や醬油などの基本的な調味料から、「しょっつる」などの地域独自の発酵調味料まで合わせると600種類を超えると言われています。

なぜ、日本ではこれほど多くの発酵食品が誕生したのでしょうか?理由を探っていきましょう!

理由①発酵食品づくり適した気候環境だから

富士山

日本は周りを海に囲まれた「高温多湿な気候」です。

日本の発酵食品の多くは、日本の国菌である「麹菌(こうじきん)」を使用したもの。麹菌などのカビ類は「温かくて、ジメジメした気候」を好みます。

麹菌についてはこちらの記事をご覧ください。

菌活に最適!発酵を行う5つの微生物。発酵スペシャリストへの道【3】

麹菌が生息しやすい環境が整っている事から、日本の発酵文化は大きく発展していきました。

ちなみに、日本に比べて涼しく湿度の低いヨーロッパ地方では、カビを使った発酵食品は殆ど存在しないそうですよ~!

理由②「腐敗」が起こりやすい環境だから

塩辛

菌が生息しやすい環境ということは、発酵だけでなく「食品の腐敗も起こりやすい」という事です。

少しでも食品の腐敗を防ぐために、塩辛なれずしなどの魚介加工食品や、ぬか漬けなどの漬物類といった発酵を利用した保存食が次々に誕生していきました!

理由③日本は古くから肉食を避ける文化があったから

牛肉

日本では仏教が広く信仰されているため、肉食を避ける文化が過去に存在していました。その期間はなんと約1200年。

675年に天武天皇が「肉食禁止令」を発令し、1871年に明治政府が肉食を推奨するようになるまでの間、日本では公式に肉食が禁止されていました。

そのため、日本人は豊かな海から獲れるからタンパク質を摂取していたんです。そこで、魚を塩漬けにする技術が発達していきました。

その中で「偶然の産物」として、魚醤(ぎょしょう)や塩辛が生まれたんですね!

理由④日本人の主食が米だったから

稲作

日本人が米を主食としているということも、発酵文化が発展した大きな要因です。

稲穂には日本の発酵文化を支えてきた麹菌や、納豆菌が大量に生息しています。稲作を営むことで、日本人は発酵に必要な菌たちを自然な状態で手に入れる事ができたんですね~

また、日本人は大豆製品もよく食べていますよね。肉を食べなかった日本人にとって、大豆は貴重なたんぱく源です。

発酵菌が生息している水田の近くで大豆を作っていた為、味噌や納豆といった発酵食品が誕生したのかもしれませんね。

現在、日本の食文化が急激に失われてきている

肉料理

何千年もかけて築かれた日本の食文化は、この数十年の間に急激に失われつつあります。

食の欧米化による肉の摂取量の増加や、ファーストフードやインスタント食品の利用が増えたことが大きな原因です。もちろん、こういった食生活にもメリットはあり「すべて悪である」とは言い切れません。

そういった食生活が進むなかで、日本人が忘れかけている思想が「医食同源(いしょくどうげん)」です。日本では古くから「身体に良い物を食べることが健康の源である」という考え方が存在していました。

急激な食生活の変化は、私達の身体に悪影響を及ぼす可能性もあります。和食と共に歩んできた日本人とって、和食が一番身体にあっていると言えますね。

まとめ

漬物

いかがでしたか?

日本では、食事の前に「いただきます」と手を合わせて食事を行いますよね。

いただきますという言葉は、命を頂く感謝の気持ちを表す言葉でもあります。日本人は昔から「食物の命に対する感謝の念」が非常に強い民族です。

私達は、改めて「食事は何のために行うのか」を考える時間が必要なのかもしれませんね。

食生活を振り返ってみると、私は反省するばかり。今日の夜は手間をかけた、和食を作ってみようと思います!