柔らかく煮えて、真ん中までしっかり味がしみ込んだ厚切りの大根。それをハフハフと頬張る瞬間は、日本人の喜びと言っても過言ではないでしょう。
おでんの具として不動の人気を誇る大根は、煮て美味しいだけでなく、生で良し、おろして良し、漬けて良し、干して良し…と、様々な調理法 に対応する便利な食材でもあります。
また、体の調子を整えるパワーも秘めているのです。そこで今回は大根についてご紹介します!
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大根についての基礎知識
大根の歴史は古く、その起源は紀元前2200年の古代エジプトに遡ります。日本にも、弥生時代には既に伝わっていたと考えられており、古事記には既に「すずしろ」(大根)の記述が残されています。
一般に広く出回っている大根は「青首大根」です。その他にも、土地土地で様々な品種があります。
巨大な形状が有名な鹿児島の「桜島大根」。千枚漬けで知られる京都の「聖護院大根」。辛みが非常に強く、そばの薬味として用いられる「辛味大根」。加賀野菜として有名な「源助大根」などです。
また、最近人気が高いのが、赤や紫の色つき大根。皮だけ赤いものや、皮が緑で中が赤いものなど、バリエーションも様々で美しいものです。サラダや漬物にすると食卓が華やかになります。
大根の旬は、10月~3月にかけてですが、品種改良が進み年間通して美味しく食べられるようになりました。甘味のある大根が楽しめるのは冬、辛みが強く薬味に向くのが夏という傾向があります。
大根の栄養や有効成分
大根は淡色野菜(緑黄色野菜ではない野菜)です。白い根の部分は水分が多く、栄養素はあまり含まれていません。その分カロリーは低いので、ダイエットには最適な食材と言えます。
大根に含まれる「ジアスターゼ」という酵素は、消化吸収を助ける作用があります。胃が荒れている時、二日酔いの時など取り入れると効果があります。
また、辛み成分である「アリルイソチオシアネート」は、抗菌・殺菌作用があります。これは、切ったりすりおろしたりして細胞が壊れることにより生成される物質です。
民間療法や、生ガキを大根おろしで洗う下ごしらえ法は、この抗菌・殺菌作用を利用したもの。
ジアスターゼやアリルイソチオシアネートは、加熱により壊れてしまいます。これらの成分を有効に使いたいのであれば生食がお勧めです。
さらに、見逃してはいけないのが、大根の葉。大根の葉は緑黄色野菜に分類され、ビタミンC、ビタミンE、ベータカロテン、カリウム、カルシウムなどを豊富に含んでいます。
葉付きの大根を買ったら、葉まで大事に食べるようにしましょう。
マクロビの基本食材でもある大根
マクロビオティックでは、大根、中でも切り干し大根が好んで使用されます。
マクロビの「野菜を皮ごといただく」という理念にもかなった食材です。マクロビの基本メニューとして切り干し大根を作るときは、切り干し大根そのものの甘味を活かして砂糖を加えません。
ポイントとなるのは、切り干し大根の戻し汁。戻し汁でゆっくり煮ていくと、砂糖なしでも美味しく仕上がります。
日本人の食卓に古くから根付いてきた大根。葉から皮まで、余すことなく使うことができる食材です。
調理法により消化吸収を高めたり、体の不調をケアしたりという効果も期待できます。日々の生活に上手に取り入れていきましょう。