世界の中でも、日本人ほど海草を食べる民族は珍しいと言われています。
海苔やワカメなど、さまざまな海草が日常的に食卓に並びます。
なかでも昆布は、調理してそのまま食べるだけでなく、和食の基本である「出汁」をとる食材として古くから欠かせない食材でした。
私たちの暮らしになじみ深い昆布に、素晴らしい健康パワーが秘められていることをご存知ですか?
そこで、今回は昆布についてご紹介します。
昆布の基礎知識
昆布は、サハリンやスカンジナビア半島、カナダ沿岸、南半球ではタスマニア島付近など、世界中の冷涼な海域に生育しています。
さらに、中国を中心に養殖も盛んです。
昆布は食品添加剤や肥料など産業用としても世界的に利用されています。
しかし、食用とするのは主に日本、そして中国、台湾、韓国などのごく限られた国々です。
日本で食用とされる昆布は、大きく3つに分かれます。
出汁昆布、野菜昆布(早煮昆布など)、そして加工用昆布です。
加工用昆布とは、つくだ煮や塩昆布、とろろ昆布、昆布茶などの原料となるものです。
こうして挙げていくと、いかに私たちの生活に昆布が浸透しているか実感しますね。
用途によってそれぞれ使われる昆布の種類が異なります。
出汁を取るには旨みが濃いものがよく、真昆布や利尻昆布などが最適です。
しかし、これらは繊維質が多くちょっと煮たくらいで食べられるものではありません。
逆に、日高昆布や長昆布、厚葉昆布などはすぐに柔らかくなりますが、出汁の甘味は物足りません。
価格もこれらの方が安くなります。
「早煮昆布」などの商品名で売られているものはこれらの昆布です。
昆布に含まれる有用成分とは?
昆布は、豊富な栄養成分が含まれるのにエネルギーはたったの4kcal(1食分)。
育ちざかりのお子さんや、ダイエット中の女性などぜひ食事に取り入れてくださいね!
カルシウム
昆布には、牛乳の6倍ものカルシウムが含まれています。
骨や歯を形成するのに欠かせない栄養素で、お子さんはもちろん、骨粗しょう症防止にも効果があります。
食物繊維
昆布をはじめとする海草類には、食物繊維が多く含まれています。
その量はごぼうの5倍、さつまいもの8倍です。
しかも、海草に含まれる食物繊維は、アルギン酸やフコイダンなどの水溶性食物繊維です。
これらは水に溶けるとゲル状になり、脂肪や糖などの吸収を抑える働きがあるため、ダイエットにも効果があります。
ヨウ素
ヨウ素は、体や知能の成長に不可欠な甲状腺ホルモンをつくる上で必要となる物質です。
さまざまな食品に微量に含まれていますが、特に昆布には群を抜いて多くのヨウ素が含まれています。
しかし、ヨウ素は摂りすぎると甲状腺に異常を起こすこともあるため注意しましょう。
通常の食事で十分な量が摂取できます。
残念ながら、昆布の国内生産量は20年前に比べて半分程度にまで減少しています。
昆布で出汁を取ることも少なくなり、昆布巻きなどの食品も日常的に食べることが減りました。
しかし、昆布を中心とした食文化は間違いなく日本を象徴するものです。
日本が長寿国となる一因でもあると言える昆布を、見直してみませんか?